2月22日に立教大学で開かれる公開シンポジウムで、お話をさせていただくことになっています。テーマはアジアの女性と民主化に関するもので、報告者の1人としてお話をさせていただきます。ご興味のある方は、立教大学のホームページ(http://www.rikkyo.ac.jp/events/2010/02/6520/)で詳細をご覧ください。
ネパール
政権交代の可能性は?
実は先週の金曜日に、突然、激しい喉の痛みと高熱に襲われた。車に乗っているときのことで、急遽、予定を変えて自宅に戻り、それから約20時間、悪寒に震えながらベッドで休んだ。これほど突然に熱が出たのは始めてのことで、まさか、流行の新型インフルエンザかと疑ったが、家人に扁桃腺炎用の抗生物質を買ってきてもらい、それと熱さましの薬を飲んで休んだところ、翌日朝には熱が下がっていた。この日は、私が尊敬する人権活動家の70歳の誕生日の家族の集まりに呼ばれていたため、何としても参加したいと思い、他の人にうつらないようにと、日本からもってきたマスクをして外出した。前回のブログは日曜日にベッドの中で休みながら書いたものだった。それから3日、体調は通常の状態に戻ったが、じっくりと休むまもなく、明日から地方に取材に出かける。今月の半ばすぎからは、また日本に帰国することになっている。ここ何ヶ月か、身辺がばたばたとして、なかなか落ち着いてブログの更新ができず、大変申し訳なく思います。
問題のハイレベル政治メカニズムで、政権交代の話がもちあがっている。話を持ち出したのは、他でもないプラチャンダである。コイララ党首に次期政権を率いるよう要請しただの、いや統一共産党のカナル党首だなと、さまざまなニュースが伝えられているが、ネパール会議派の一部リーダーは主要3政党の合意が成立すれば、政権を率いてもよしとする発言をしている。しかし、こうした話がメカニズムから出てくることに関して、メカニズム発足の目的に疑いをもち、「このメカニズムそのものを解散せよ」と言う政治家(ガッチャダール副首相)まででてきているほどである。マオイスト軍の統合・リハビリ問題を決める特別委員会は、どの治安機関に何人のマオイストを統合するかに関する決定をメカニズムに委任することを決めているが、メカニズムそのものに対する信頼が醸成されていない状況で、果たして権威ある決定をすることができるのだろうか。
問題のハイレベル政治メカニズムで、政権交代の話がもちあがっている。話を持ち出したのは、他でもないプラチャンダである。コイララ党首に次期政権を率いるよう要請しただの、いや統一共産党のカナル党首だなと、さまざまなニュースが伝えられているが、ネパール会議派の一部リーダーは主要3政党の合意が成立すれば、政権を率いてもよしとする発言をしている。しかし、こうした話がメカニズムから出てくることに関して、メカニズム発足の目的に疑いをもち、「このメカニズムそのものを解散せよ」と言う政治家(ガッチャダール副首相)まででてきているほどである。マオイスト軍の統合・リハビリ問題を決める特別委員会は、どの治安機関に何人のマオイストを統合するかに関する決定をメカニズムに委任することを決めているが、メカニズムそのものに対する信頼が醸成されていない状況で、果たして権威ある決定をすることができるのだろうか。
無政府状態
バングラデシュのダッカで始まった南アジアのスポーツ大会では、新しいネパール国歌がなくて、古い国歌がならされたそうである。新国歌ができてすでに3年近くたっていると思うのだが、なんという不始末なのだろう。ネパール大使館が用意できなかったからと伝えられているが、インターネットからいくらでもダウンロードできる。何ともはやネパールらしいと言おうか・・・。カトマンズでは、政府役人のストのためにゴミ収集が行われず、再び街頭にゴミの山。とうとう警官隊が出てきて片付けるという始末である。毎日11時間の停電時間。一刻も早く新しい水力発電所ができてほしいというのが庶民の思いだが、マオイストが西ネパールのカルナリ川上流にある水力発電所の建設作業を、昨日から強制的に中止させた。このプロジェクトが「インドにのみ利益となるから」というのが理由で、州政府ができるまで建設を中止しろといっている。
こうした毎日のニュースを聞いていると、この国には政府はあるのだろうかと思う。「政府は機能していない」というのが真実である。現政府のままで国は動かないし、新憲法を完成できないことは、もはや明白である。ネパール首相の自身の席を維持するためだけの「辞めない」発言は聞きたいとも思わない。辞めないのであれば、もっと建設的、発展的な動きにでるべきである。
こうした毎日のニュースを聞いていると、この国には政府はあるのだろうかと思う。「政府は機能していない」というのが真実である。現政府のままで国は動かないし、新憲法を完成できないことは、もはや明白である。ネパール首相の自身の席を維持するためだけの「辞めない」発言は聞きたいとも思わない。辞めないのであれば、もっと建設的、発展的な動きにでるべきである。
白昼の謀殺事件
ネパール最大手のケーブルTVネットワーク経営者であり、このネットワークを活用したネパールで最初の民放TV局の経営者でもあったジャミン・シャハ氏(47)が2/7、白昼のカトマンズで射殺された。
カトマンズ市内のラジンパット大通り。警察官が24時間警備する、フランス大使館前。しかも当日は、副大統領の宣誓式会場へのVIP移動エリアと、普段より厳重な警備体制が敷かれていたはずだった。それにもかかわらず、停車中のシャハ氏の車の外から2人の狙撃犯が銃撃し、そのまま逃亡することに成功している。暗殺プロの犯行と考えるのが自然だろう。
シャハ氏は、インド国境に近いタライ地方にルーツを持つイスラーム教徒家庭の出身。元王族のシャハ家とは関係がない。ネパール政府の元キャリア官僚を父に持つが、富豪の家庭に生まれ育ったわけではない。自身ではじめたビデオ・レンタル業から興し、一代で、ネパールのTV界にエポックメイキングを巻き起こす企業体に育てた辣腕起業家である。同時に、裏のビジネス界との関係を巡る「噂」も絶えない御仁であった。しかし直接彼が、官憲の手に落ちることはなかった。最近では、大きな負債を抱えているのでは?という評判もあった。
一方、恋愛結婚した異カースト・異教徒の妻や、子供に対する良き家庭人としての顔。さばけた遊び人としての楽しい人柄など。私は直接面識なかったが、彼を直接知る人から、仕事を離れた側面のシャハ氏について聞くこともあった。
ネパールの新聞報道によれば、普段から襲撃に対する危険性を感じていたようで、行動に日課を作らない人だったそう。アポにも、時間よりずっと早く出向くか非常に遅れて行くという、警戒を怠らぬ行動が日常であったそうだ。それでも、狙撃犯から逃れることは出来なかった。
シャハ氏の「出てこない」活動については、様々な噂が広がっている。例えば、宗教原理主義グループとつながっていて、インドの秘密警察から問題視されていたとか。
いずれにしても明白なのは、首都カトマンズの大使館街で白昼堂々、シャハ氏が射殺されたと云う事。
現在のネパールを考える上で、重い記憶となることに間違いはない。
ハイチでネパール人死者が出なかった理由
ハイチには国連部隊として、千人を超える国軍兵士や警察官が駐留している。しかし今回の大地震では、一人の死者も出なかった。国連の特別代表さえも死亡する中で、ネパール人が助かったのは何故か?
とある信頼すべき筋の情報であるが、それはどの筋だとは聞かないで欲しい。
巨大地震の起こった当日 、ハイチに駐留するネパール国軍部隊の、ネパール国内における創立記念日であったそうだ。この記念式典のため、部隊のグラウンドに、ハイチ在住ネパール人が全て勢揃いしていたそうだ。広いグラウンドであったため、建物の倒壊被害から逃れられた。一名だけ、勤務の都合で式典に遅れた人だけが自室で着替え中に被災し、怪我を負ったそうである。
ということで、ハイチの地にあっても、偉大なるドゥルガ女神の恩寵で守られた!と、その筋関係では話し合っているそうだ。
無傷のネパール人部隊は地震直後から、被災者の救出に当たっているそうだ。
とある信頼すべき筋の情報であるが、それはどの筋だとは聞かないで欲しい。
巨大地震の起こった当日 、ハイチに駐留するネパール国軍部隊の、ネパール国内における創立記念日であったそうだ。この記念式典のため、部隊のグラウンドに、ハイチ在住ネパール人が全て勢揃いしていたそうだ。広いグラウンドであったため、建物の倒壊被害から逃れられた。一名だけ、勤務の都合で式典に遅れた人だけが自室で着替え中に被災し、怪我を負ったそうである。
ということで、ハイチの地にあっても、偉大なるドゥルガ女神の恩寵で守られた!と、その筋関係では話し合っているそうだ。
無傷のネパール人部隊は地震直後から、被災者の救出に当たっているそうだ。
天地が雨を求めてる
今日は早朝から、自転車でタメルに向かう。ミーディングの時間より30分早く着いて、パンパーニケル・ベーカリーで朝食を食べる。時々こうして、旅行者のような行動(朝食を外食)をすると新鮮で、楽しいね。正面から入らず、横の路地から入ると、直接自転車をガーデンら入れられる。席から目の届く場所に愛車を止められるというのがうれしい。
その後、某クライミングウォールのクラブハウスでミーディング。ディスクブレーキつきの、素敵なマウンテンバイクが止められていた。ここの経営者、 2代目の若旦那がつい最近買ったそうで、私の行きつけと同じショップだった。彼はネパールを代表する環境登山家なのだが、普段車を運転するのを止めて、自転車にシフトしたそうだ。ナーイス!
カトマンズにも、こういうネパール人が出始めている。
ミーティングは、エベレストの麓を活動地域とするNGOの人たちとだったのだが、予想以上に盛り沢山で、お互い満足できるものになった。その後、カトマンズ市内を5ヶ所ほど回って、和さんのロータスでは大福をゲットして、幸せな気持ちでパタン郊外の仕事場にやってきた。
電気が来るにはまだ時間もあったし、ジョギングシューズに履き替えて1時間ほどロードワークに出る。仕事場から10分も走れば、郊外の景色。
春の高曇りの下、まだ芽吹かない大地は、久方ぶりの雨を求めている。緩やかな傾斜に作られた段々畑や、埃をかぶった木々の葉っぱが、空に向かって一斉に手を広げ、雨を求めていた。
どうやら、明日は降るみたい。
冬枯れのカトマンズが、一斉に芽吹くのももうすぐだ。
その後、某クライミングウォールのクラブハウスでミーディング。ディスクブレーキつきの、素敵なマウンテンバイクが止められていた。ここの経営者、 2代目の若旦那がつい最近買ったそうで、私の行きつけと同じショップだった。彼はネパールを代表する環境登山家なのだが、普段車を運転するのを止めて、自転車にシフトしたそうだ。ナーイス!
カトマンズにも、こういうネパール人が出始めている。
ミーティングは、エベレストの麓を活動地域とするNGOの人たちとだったのだが、予想以上に盛り沢山で、お互い満足できるものになった。その後、カトマンズ市内を5ヶ所ほど回って、和さんのロータスでは大福をゲットして、幸せな気持ちでパタン郊外の仕事場にやってきた。
電気が来るにはまだ時間もあったし、ジョギングシューズに履き替えて1時間ほどロードワークに出る。仕事場から10分も走れば、郊外の景色。
春の高曇りの下、まだ芽吹かない大地は、久方ぶりの雨を求めている。緩やかな傾斜に作られた段々畑や、埃をかぶった木々の葉っぱが、空に向かって一斉に手を広げ、雨を求めていた。
どうやら、明日は降るみたい。
冬枯れのカトマンズが、一斉に芽吹くのももうすぐだ。
ハテナRSS終了:ネット全体主義へまた前進
谷川昌幸(C)
ハテナRSSがサービス終了となる。簡潔にして十分な機能で愛用してきたのに残念だが,これも時代の趨勢,いたしかたない。
ネットにせよパソコンにせよ,システムはますます網羅的に統合され,そこから外れたソフトはいくら優秀でも淘汰される。いや,優れたソフトは,巨大ネット企業,ソフト企業にアイディアを横取りされ,同じようなものをつくられ,結局は消されてしまう。
私は愛国者だから,DOS時代から数年前まで一太郎を愛用してきたが,周囲がみなMSワードに替わってしまったため,はるかに優秀であるにもかかわらず一太郎をあきらめざるをえなかった。まだ入力はATOK,テキスト文書作成はテラパッド,メールはシュリケンを使用し続けているが,神国日本への祖国愛だけではいつまでも抵抗しきれるものではない。
パソコンやネットは科学的システムであり,科学は本質的に中央集権,全体主義,帝国主義である。放っておくと,科学は世界を一つのシステム,つまり科学主義思想の下に統合し,全体主義的支配を強化していく。しかも,このシステムは,某国の某機関がつねに監視しているといわれている。
恐ろしい時代になったものだ。もはやヒマラヤに隠遁する以外に,自由回復の道はない。林住こそが,21世紀の人間の人間らしい生き方となるであろう。
悪魔になり損ねたジャー副大統領
谷川昌幸(C)
ジャー副大統領が7日,第7次憲法改正条項により,マイティリ語とネパール語で就任宣誓をやり直し,副大統領の職務に復帰した。ジャー氏の完勝。
しかし,もしジャー副大統領が本物の「悪魔の代弁者」だったら,もう一度ヒンディー語で宣誓したであろう。どの言語が母語かは,結局,本人にしか決められないからだ。母語判定は処女検査以上に難しい。
ジャー副大統領は,悪魔になるよりも,政治家としての実利をとったわけだ。
感覚の違いという事
先日の暖房についてであるが、カトマンズと日本両方の生活体験があり、両国の文化についても高い見識ある、某ネパール人Bhai(年下の男性)より、興味深いご指摘をいただいた。曰く、
「カトマンズでの生活では、冬も格段寒いとは思っていなかった」
「上に何枚か着込むだけで、暖かかった」
うーむ。我が亭主にしても、我が家の状況を「それほど寒くない」と感じていた様子。だから、私が逆上したとき、大変驚いていた。
例えば「肩が凝る」って、日本人はよく感じるが、外国人、特に欧米の人は感じないそうだ。例え実際には 、バリバリに肩が凝っていたとしても。文化によって、感覚の感じ方が異なるという事なのだろうか?
日本人は、一般のネパール人よりずっとよく働くし、周りに気を遣いまくっている。この点、ネパール人は鷹揚だと思う。「ニホンジンッテ、コンナニ ハタライテ、ダイジョウブナノハ ナゼデスカ?」 と思うネパール人も多いだろう。往々にして、日本人が日本で働く場合、何とか頑張れてしまうことが多い。
しかし、しかし、日本人が、その日本のペースで外国、特にネパールのような国で仕事をしてしまうと.....
1.ネパール社会との融和に失敗し、孤立する。
2.無理がたたって、多くの場合病気になって倒れる。
日本は、仕事に没頭して頑張れる社会システムで回っているが、総ての国や文化が同じではない。ネパールのような、障害物競走のような社会で生きているネパール人には、日本人のような機敏さや繊細さはなくても、日本人には真似の出来ない「強さ」があるのだ!
毎日11時間電気来なくても、何とかやっているのがネパール。
別な側面を考えると、例えば日本人は仕事のために空腹を我慢するのに耐えられるが、ネパール人はそうでない。食べないと仕事できない。でも、ネパール人は宗教儀式が終わるまで何時間でも空腹を我慢できるが(ヒンズー教では、宗教儀礼前の飲み食いはしないことが多い)、我々には出来ない相談。
一般的に信仰心の薄い日本人にとっては、勤労に神が宿るのかも?
などと、落ち着いて、異文化の面から考えると、夫婦喧嘩もまた、興味深いものとなり得る。ならないこともあるが......
「カトマンズでの生活では、冬も格段寒いとは思っていなかった」
「上に何枚か着込むだけで、暖かかった」
うーむ。我が亭主にしても、我が家の状況を「それほど寒くない」と感じていた様子。だから、私が逆上したとき、大変驚いていた。
例えば「肩が凝る」って、日本人はよく感じるが、外国人、特に欧米の人は感じないそうだ。例え実際には 、バリバリに肩が凝っていたとしても。文化によって、感覚の感じ方が異なるという事なのだろうか?
日本人は、一般のネパール人よりずっとよく働くし、周りに気を遣いまくっている。この点、ネパール人は鷹揚だと思う。「ニホンジンッテ、コンナニ ハタライテ、ダイジョウブナノハ ナゼデスカ?」 と思うネパール人も多いだろう。往々にして、日本人が日本で働く場合、何とか頑張れてしまうことが多い。
しかし、しかし、日本人が、その日本のペースで外国、特にネパールのような国で仕事をしてしまうと.....
1.ネパール社会との融和に失敗し、孤立する。
2.無理がたたって、多くの場合病気になって倒れる。
日本は、仕事に没頭して頑張れる社会システムで回っているが、総ての国や文化が同じではない。ネパールのような、障害物競走のような社会で生きているネパール人には、日本人のような機敏さや繊細さはなくても、日本人には真似の出来ない「強さ」があるのだ!
毎日11時間電気来なくても、何とかやっているのがネパール。
別な側面を考えると、例えば日本人は仕事のために空腹を我慢するのに耐えられるが、ネパール人はそうでない。食べないと仕事できない。でも、ネパール人は宗教儀式が終わるまで何時間でも空腹を我慢できるが(ヒンズー教では、宗教儀礼前の飲み食いはしないことが多い)、我々には出来ない相談。
一般的に信仰心の薄い日本人にとっては、勤労に神が宿るのかも?
などと、落ち着いて、異文化の面から考えると、夫婦喧嘩もまた、興味深いものとなり得る。ならないこともあるが......
外国人債務研修・実習制度の実態
谷川昌幸(C)
外国人研修・実習制度が,「債務研修・労働者制度」に近いことが,また,判明した。
朝日新聞(2/6)によれば,熊本のトマト農家に派遣されていた中国人研修生が,「二重派遣など違法な労働をさせられた」として派遣先農家から逃げ出した。
これに対し,中国の派遣仲介業者が違約金15万元(195万円)を請求する訴えを中国で起こした。派遣業者との契約では,派遣先を辞めた場合,違約金30万元(390万円)を支払うことになっている。
30万元は大金だ。研修・実習生は,日本派遣までに相当額の事前研修費も負担しているはずだ。この重い「債務」があるからこそ,研修・実習生は劣悪な労働条件でも派遣先を辞めることができず,働き続けなければならない。「債務奴隷」とまではいわないとしても,多くの場合,事実上「債務研修・実習生」であることは間違いない。
日本は,この「債務研修・実習生」の派遣国を,中国からネパールに切り替える。中国は急速に経済発展しており,このような「債務研修・実習生」の希望者が減少し始めたからだ。ネパール人は安くて使いやすいということらしい。
ネパール人研修労働者の大量採用:日ネ関係は新時代へ
谷川昌幸(C)
1.研修労働者の大量派遣
ネパール訪問中の国際研修協力機構(JITCO)副理事長ツズキ・ケンスケ氏が2月3日,新聞インタビューに応じ,研修労働者の派遣国を中国からネパール(およびバングラディシュ,モンゴル)に切り替える,と説明した。
「ネパール,バングラディシュ,モンゴルは,日本の技術インターン制度にとって最も適切な,優先すべき国である。」
ネパール研修労働者は,今年は500人受け入れ,以後,徐々に増やしていく。主な雇用先は農業,食品加工業だという。これまでの受入はわずか6人だったから,これは激増であり,明確な政策転換である。
ネパール側仲介業者(人材派遣業者)は172社認められた。仲介業者の義務は――
・研修生を,期間満了後,帰国させる
・研修生は,18-40歳
・保証金を積む(300万ルピー+α)
・事前研修,健康診断を受けさせ,保険をかける
これらの義務を果たさなければ,たとえば研修生が他の仕事に移ったり,帰国しなかった場合は,仲介業者は日ネ両当局により処罰される。
この案によれば,働き盛りのネパール人を,日本・ネパール両国政府の管理の下,仲介業者の口利きで,大量に日本に送り込む。送り出しまでに,仲介業者はかなりの費用を負担する。本当に大丈夫か? 日ネ政府管理の債務外国人労働者制度になりはしないか?
2.IT技術者500人採用
これは研修労働者制度ではないが,昨年秋,ネパール人IT技術者500人が特別ビザを取得し,日本で働くことになった。これまでに何人来日したかは分からないが,これも仲介業者によるものだ。
IT技術は専門職であり,月給は50~200万円だという。本当かなぁ? 夢のようだ。まさか,外国人労働者派遣業者の誇大広告ではあるまいな?
3.マレーシア,ネパール人10万人雇用
一方,ネパール人労働者は,マレーシアにも大量に出稼ぎに行っている。マレーシアでのネパール人労働者の月給は1万1千ルピー~1万7千ルピー。その中から,月150ドルをネパールの家族に送金している(少し計算が合わないが,新聞にはそう書いてある)。
マレーシア政府は,今回10万人のネパール人労働者にビザを出すという。仲介業者によると,マレーシアに出国するまでの事前経費は4~8万ルピー。仲介業者の儲けも大きいはずだ。
また,そうなれば,月1500万ドルがネパールに送金されることになり,ネパール政府も大喜びだそうだ。
こうアケスケにいわれると,ネパール政府と仲介業者が人材輸出,人民輸出でぼろ儲けをしていると書いても,文句を言われることはあるまい。政府も業者も認めているのだから。
日本政府のネパール人研修労働者大量受け入れへの政策転換も,このような文脈のなかで分析・評価されなければならないだろう。
4.ネ・日関係の新時代
いずれにせよ,ネパールの新聞報道が本当だとすると,ネパール人労働者の大量来日で,ネ・日関係は激変する。現状では,問題噴出は避けられない。古き良き日ネ友好の時代はまもなく終わるであろう。
* "Japan mulls replacing Chinese workers with Nepalis," Republica, Feb4, 2010
* "Nepali IT brains may find jobs in Japan," Republica, Oct12, 2009
* "Gov readies guidelines to send interns to Japan," Republica, Nov2, 2009
* "Malaysia demands 100,000 Nepali workiers, " Republica, Feb5, 2010
暖房を巡る攻防
1user
今、ある原稿を書いていて、カトマンズの冬の過ごし方について東京とやりとりをしている。ネパール人の生活習慣をご存じの方は「ああ、そうそう」と納得していただけると思うが、ネパール人はとにかく、寒さを我慢する。
暖房器具を使うことは少なく、使ったとしても、手元足元をちょっと暖める程度。部屋全体を暖めることはしない。真冬でも、靴下もはかない。暖かな下着も着ず、上に着込むばかりだ。そのくせ、頭は毛糸の帽子などで防寒していることが多い。
カトマンズでは真冬が2ヶ月程度と短いことと、灯油などの燃料が高価なこと(1リットル70円ちょっとと、物価から考えると、なかなか気軽に買えない値段)。そして、快適な生活を「知らない強さ」が、カトマンズの人たちにはある。
以前、冬は極寒となるポーランド、ワルシャワ出身の女性が近所に住んでいた。彼女のネパール人ダンナが、うちの連れ合いの友人であったため行き来があった。で、彼女曰く
「カトマンズノ イエノ スキマカゼ、マフユノバイク、ダンボウヲ ツカワナイ セイカツ。クレイジー デス。ワタシ、サムクテ ナキマシタ。ワルシャワハ、ソトハ フブキデモ、イエノ ナカハ アタタカイデス。モウ、カエリタイデス」
まあその後、彼女はダンナをシバキつつ、ちゃんと子供を育てて、カトマンズ国連系の職場で頑張っているのだが。ここのダンナは、国際政治学の博士号をもち、カトマンズの知識階層の家庭出身というちゃんとした御仁だが、それでも結婚直後のネパール人としてのメンタリティに、冬の暖房という概念はなかった。いわんや、我が亭主.....
仕事場には立派なガスストーブがあるが、今年はまったく使わない。自宅の石油ストーブも、1月中旬まで私がいなかったため、今年は使っていなかった。暖冬傾向でもあったため、そのまま暖房なしでいたのだが。平たく云えば、暖房を使わせてくれなかったわけだ。しかし最近、夜になると私の頭は寒さでキリキリと痛みだし、停電で真っ暗で、私が愛用している電気ストーブも使えず、気が狂いそうになった。で、
今年我が家が灯油も買えなかったのは、★●◆のせいだ。ぐわーっ!★◎▲に☆▽●◆、◎◆◇してやるぅ!
と暴れたら、今朝、亭主が石油ストーブの芯を掃除して(灯油の質が悪いため、使い始めに分解掃除が必要)灯油を買ってきた。ああ、石油ストーブをつけるために、ここまでの暴挙に出る必要があるとは。ネパール人、いい加減にせんかい!
で、東京の担当さんに聞かれた
「何でそこまで、我慢するんですか?」
「さあ、この人たち、▼◆なんじゃないですか」
悲しき伏せ字である。
貧しくて買えない。または、売っていないなら理解できる。しかし、それくらいのお金は何とかなるし、売ってるし、病気になりそうに冷え込んでいて尚、暖房器具をつけようとしないのはクレイジーだ。私の立場では。
亭主の言い分としては、ちゃんとキミの凍えた手をボクの手のひらで温めてあげたり(結構、仲良し)、いろいろ、ボクなりの誠意は見せたじゃない。
と、彼の側の正義があるわけで、昨日以来、怒って口をきかない。しかしそういうことを恐れていては、我々西側諸国からやって来た人間が、この地で永らえることは大変難しくなる。
寒さが半端でないヒマラヤに住むシェルパの人たちなど。昔はいざ知らず、今は台所で煮炊きする熱を上手に使って家族で暖まるし、冬はカトマンズなどの温暖な地方に降りてくる。ちゃんと防寒してる。
寒さに対処できないのは、うちの亭主を含む▲◇★ーの輩たちだ。元々、温暖~亜熱帯の地域の文化だからな。コノヤロー!
あっ、そうか。あの文化の人たちを動かすためには、道路でタイヤを燃やすくらいの抗議活動が必要なんだ。そうか。だから、私も時々、家庭内で大暴れすればいいんだ。なーるほど。
と、そこまで正当化してもいいのか、ちと不安であるが。これでいいのだ!石油ストーブ、暖かいしね。
暖房器具を使うことは少なく、使ったとしても、手元足元をちょっと暖める程度。部屋全体を暖めることはしない。真冬でも、靴下もはかない。暖かな下着も着ず、上に着込むばかりだ。そのくせ、頭は毛糸の帽子などで防寒していることが多い。
カトマンズでは真冬が2ヶ月程度と短いことと、灯油などの燃料が高価なこと(1リットル70円ちょっとと、物価から考えると、なかなか気軽に買えない値段)。そして、快適な生活を「知らない強さ」が、カトマンズの人たちにはある。
以前、冬は極寒となるポーランド、ワルシャワ出身の女性が近所に住んでいた。彼女のネパール人ダンナが、うちの連れ合いの友人であったため行き来があった。で、彼女曰く
「カトマンズノ イエノ スキマカゼ、マフユノバイク、ダンボウヲ ツカワナイ セイカツ。クレイジー デス。ワタシ、サムクテ ナキマシタ。ワルシャワハ、ソトハ フブキデモ、イエノ ナカハ アタタカイデス。モウ、カエリタイデス」
まあその後、彼女はダンナをシバキつつ、ちゃんと子供を育てて、カトマンズ国連系の職場で頑張っているのだが。ここのダンナは、国際政治学の博士号をもち、カトマンズの知識階層の家庭出身というちゃんとした御仁だが、それでも結婚直後のネパール人としてのメンタリティに、冬の暖房という概念はなかった。いわんや、我が亭主.....
仕事場には立派なガスストーブがあるが、今年はまったく使わない。自宅の石油ストーブも、1月中旬まで私がいなかったため、今年は使っていなかった。暖冬傾向でもあったため、そのまま暖房なしでいたのだが。平たく云えば、暖房を使わせてくれなかったわけだ。しかし最近、夜になると私の頭は寒さでキリキリと痛みだし、停電で真っ暗で、私が愛用している電気ストーブも使えず、気が狂いそうになった。で、
今年我が家が灯油も買えなかったのは、★●◆のせいだ。ぐわーっ!★◎▲に☆▽●◆、◎◆◇してやるぅ!
と暴れたら、今朝、亭主が石油ストーブの芯を掃除して(灯油の質が悪いため、使い始めに分解掃除が必要)灯油を買ってきた。ああ、石油ストーブをつけるために、ここまでの暴挙に出る必要があるとは。ネパール人、いい加減にせんかい!
で、東京の担当さんに聞かれた
「何でそこまで、我慢するんですか?」
「さあ、この人たち、▼◆なんじゃないですか」
悲しき伏せ字である。
貧しくて買えない。または、売っていないなら理解できる。しかし、それくらいのお金は何とかなるし、売ってるし、病気になりそうに冷え込んでいて尚、暖房器具をつけようとしないのはクレイジーだ。私の立場では。
亭主の言い分としては、ちゃんとキミの凍えた手をボクの手のひらで温めてあげたり(結構、仲良し)、いろいろ、ボクなりの誠意は見せたじゃない。
と、彼の側の正義があるわけで、昨日以来、怒って口をきかない。しかしそういうことを恐れていては、我々西側諸国からやって来た人間が、この地で永らえることは大変難しくなる。
寒さが半端でないヒマラヤに住むシェルパの人たちなど。昔はいざ知らず、今は台所で煮炊きする熱を上手に使って家族で暖まるし、冬はカトマンズなどの温暖な地方に降りてくる。ちゃんと防寒してる。
寒さに対処できないのは、うちの亭主を含む▲◇★ーの輩たちだ。元々、温暖~亜熱帯の地域の文化だからな。コノヤロー!
あっ、そうか。あの文化の人たちを動かすためには、道路でタイヤを燃やすくらいの抗議活動が必要なんだ。そうか。だから、私も時々、家庭内で大暴れすればいいんだ。なーるほど。
と、そこまで正当化してもいいのか、ちと不安であるが。これでいいのだ!石油ストーブ、暖かいしね。
火だるまのバタライ博士: マオイスト14州案
谷川昌幸(C)
制憲議会でマオイストの14州案がNCやUMLの集中砲火を浴び,バタライ博士らは火だるまだ。
マオイスト提案は,カースト/民族による州区分だが,これに対し,14州は多すぎる,あるいはカースト/民族による州区分はカースト/民族対立を激化させる,と批判された。
防戦に回ったバタライ博士は,14州案は「客観的」だと反論した。科学的社会主義者らしい。文化的「カースト/民族」概念は「主観的」だと思うのだが。
さらに,共産主義は普遍的「階級」の立場に立つべきだというもっともな批判に対しては,博士は,ネパール人民の搾取は階級的なものとカースト/民族的なものの両方があり,だからカースト/民族解放闘争も必要なのだと反論する。
そして,州区画の基準は,nationalityだと議論をそらしていく。ナショナリティ(राष्ट्रियत)とは,要するに「国を形成しうる民族」のことであり,「国民」といってもよい。ということは,「国」あるいは「州」を形成するに足りないジャーティーやエスニシティは,州形成主体とはなれない,ということだ。スターリン民族論のオーム返し。やれやれ。
困ったバタライ博士は,奥の手を出した。州区分案がまとまらなければ,国民投票で決めたらよい,という。あれまぁ! 国民投票はカースト/民族自治とは原理的に相容れない方法だ。多数決では決められないから,多数決だと少数民族・少数派文化が抑圧されるから,カースト/民族自決を言い出したのでしょ。
さらに困り果てたバタライ博士は,今度は,カースト/民族の独自文化よりも,国民民族(ナショナリティ)の経済的・地理的繁栄を優先する,と議論をそらしてしまう。ますますスターリン的だ。
支離滅裂のバタライ博士説に対し,反動のNCや日和見のUMLは,ここぞとばかりに反撃を加えた。スシル・コイララNC党首代行も,はるばるサルヤンから攻撃に参加し,「カースト/民族連邦制は絶対に容認しない」と述べ,マオイストはカースト/民族連邦制を設立し,次にこれを利用して鉄砲でネパールを支配するつもりだ,と非難した。
スシルNC党首代行の発言は少々いいすぎだとしても,カースト/民族を根拠とする連邦制案には問題が多々あることは明白だ。単一国家の地方自治の方がよいのではないか?
* "Maoists defend 14-state model, others criticize," Republica, 2010-02-02
* "Sushil says no to caste-based federalism," KOL, Feb3, 2010
