新戦車TK-Xについて何度か記事にしてきましたが、火力・装甲・機動力、そしてC4Iと戦略機動性について、もう一度纏めてみたいと思います。今回は特に「火力」について書いて置きます。
■火力・・・新開発120mm44口径滑腔砲
TK-Xの搭載する主砲については、従来の90式戦車が搭載していたラインメタル120mmL/44滑腔砲とは異なる、新設計の120mm44口径滑腔砲を採用しています。

この新型砲には受動式のエバキュエーター(evacuator;排煙器)が付いていません。ルクレール戦車のGIAT CN120-26/52滑腔砲と同じく、圧縮空気を砲尾から吹き込む強制排煙方式です。排煙器 - Wikipedia
TK-Xの主砲を強制排煙方式とした理由は推測になりますが、新型砲は砲腔内圧を従来砲より高めるので、排煙器は砲身の途中に小さな孔を空ける必要があり、損失となるのを嫌ったからではないかと思います。44口径のまま高威力化する為の選択なのでしょう。
新型砲には新型砲弾が用意されます。これはもちろん弾体が改良されていますが、装薬の中身を変更し、薬莢の大きさを変えずに威力を高めてあります。高威力化された装薬の爆発に合わせて新型砲の薬室(chamber;チャンバー)も強化されています。砲身は44口径のまま、長大化した弾体と強化された装薬により、高威力化を達成します。

90式戦車が使用しているJM33はラインメタルDM33のライセンス生産品です。ラインメタルは新型砲弾の開発を続け、最新型はDM63となっています。

アメリカは最新型のM829A3で弾体を限界まで長くし、直径も太くした上でLD比を大きくし、弾体重量を大きなものとしています。装薬も強化され、44口径砲から発射するにも関わらず、砲口エネルギーは55口径砲のDM63よりも高く、長砲身砲よりも大きな貫通力を有します。TK-XにもM829A3に準じた形状の新型砲弾をタングステンで製作するものと思われます。
なお日本ではこれまで幾つかの種類の戦車砲を試作してきました。
・120mm軽量砲
・120mm長砲身砲
・135mm大口径砲
日本は長砲身砲や大口径砲を実際に作ってみた上で、新戦車TK-X搭載用の新型砲として120mm44口径砲を採用しました。これはイスラエルが最新鋭戦車メルカバMK.4(2004年配備開始)に、敢えて国産のIAI 120mm44口径滑腔砲を搭載した事と併せてみると、必ずしも独仏の戦車のような長砲身砲が最善の選択とは言えないのではないか、と考える事が出来ます。メルカバMk.4は登場前は140mm砲搭載が噂されていながら、実際に出てきたら120mm44口径砲で、従来のメルカバMk.3(1990年配備開始)とサイズは変わりがありませんでした。IAIの120mm44口径砲のモデル名は、MK.3用が「MG251」でMk.4用が「MG253」と、新設計になっています。90式戦車とメルカバMk.3はほぼ同時期の戦車です。その次に現れた日本とイスラエルの新戦車、TK-XとメルカバMk.4が同じ120mm44口径という主砲サイズを選択してきたのは、両国とも検討を重ねた上での事であり、単純に「主砲サイズが以前の戦車と変わり映えしない」と批判する事は、浅はかな行為ではないかと思います。TK-Xをそのように批判する場合、メルカバMk.4も同様に批判しなければなりませんが、そのような事をしている者は見た事がありません。
TK-Xを批判する人の多くが、「なぜ長砲身化しなかった」「なぜ大口径化しなかった」「90式戦車と同じじゃないか」という意見を述べています。代表的な例では小説家・吉岡平氏のTK-X批判で「主砲も従来のまま」というものです。しかし実際には同じでは有りません。全くの別物です。
なおロシアは新戦車T-95の主砲に135mm戦車砲ないし152mmガンランチャーを予定しています。ただし大口径化といっても、ガンランチャーの場合は大威力のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)は撃てません。APFSDSを撃つだけなら撃てますが、口径に相応したサイズのものは無理で、軽量の低威力なAPFSDSを撃てるのみです。ガンランチャーの主要兵器は砲発射ミサイルであり、HEAT(成形炸薬)弾頭です。一般的なAPFSDSを発射する高初速戦車砲とは同じ土俵で比べる事は出来ない事に注意して下さい。つまり152mmガンランチャーが120mm高初速戦車砲より強力とは一概に言う事は出来ません。その辺りの事を何も解説せずに152mm=強力だとする軍事ライターが居るようですが、MBT70やシェリダンの存在を忘れているかのようです。
MBT-70 ‐ Википедия
└ XM150
Бронебойно-трассирующий подкалиберный с отсоединяющимся поддоном, APFSDS-T
ХМ578Е1
Вес выстрела, кг 18,2
Вес снаряда, кг 9,1
Начальная скорость, м/с 1478
152mm砲弾であるにも拘らず、XM578E1の重量は120mm滑腔砲弾と同程度になっています。短口径のガンランチャーで初速を稼ぐ為でしょう。スペック上、XM578E1の初速は一般的な120mm戦車砲弾よりも若干劣る程度です。XM150ガンランチャーの主要兵器は砲発射ミサイル「MGM-51 シレイラ」であり、APFSDSであるXM578E1は接近時または二線級目標用です。
(なぜロシア語版Wikipediaなのかというと、英語版のMBT-70やドイツ語版のKampfpanzer 70よりも遥かに情報量が充実しているからです。ロシア新戦車T-95の主砲がガンランチャーになりそうなので、ロシア人はMBT70に大きく注目しているようです)
■火力・・・新開発120mm44口径滑腔砲
TK-Xの搭載する主砲については、従来の90式戦車が搭載していたラインメタル120mmL/44滑腔砲とは異なる、新設計の120mm44口径滑腔砲を採用しています。

この新型砲には受動式のエバキュエーター(evacuator;排煙器)が付いていません。ルクレール戦車のGIAT CN120-26/52滑腔砲と同じく、圧縮空気を砲尾から吹き込む強制排煙方式です。排煙器 - Wikipedia
TK-Xの主砲を強制排煙方式とした理由は推測になりますが、新型砲は砲腔内圧を従来砲より高めるので、排煙器は砲身の途中に小さな孔を空ける必要があり、損失となるのを嫌ったからではないかと思います。44口径のまま高威力化する為の選択なのでしょう。
新型砲には新型砲弾が用意されます。これはもちろん弾体が改良されていますが、装薬の中身を変更し、薬莢の大きさを変えずに威力を高めてあります。高威力化された装薬の爆発に合わせて新型砲の薬室(chamber;チャンバー)も強化されています。砲身は44口径のまま、長大化した弾体と強化された装薬により、高威力化を達成します。
90式戦車が使用しているJM33はラインメタルDM33のライセンス生産品です。ラインメタルは新型砲弾の開発を続け、最新型はDM63となっています。

アメリカは最新型のM829A3で弾体を限界まで長くし、直径も太くした上でLD比を大きくし、弾体重量を大きなものとしています。装薬も強化され、44口径砲から発射するにも関わらず、砲口エネルギーは55口径砲のDM63よりも高く、長砲身砲よりも大きな貫通力を有します。TK-XにもM829A3に準じた形状の新型砲弾をタングステンで製作するものと思われます。
なお日本ではこれまで幾つかの種類の戦車砲を試作してきました。
・120mm軽量砲
・120mm長砲身砲
・135mm大口径砲
日本は長砲身砲や大口径砲を実際に作ってみた上で、新戦車TK-X搭載用の新型砲として120mm44口径砲を採用しました。これはイスラエルが最新鋭戦車メルカバMK.4(2004年配備開始)に、敢えて国産のIAI 120mm44口径滑腔砲を搭載した事と併せてみると、必ずしも独仏の戦車のような長砲身砲が最善の選択とは言えないのではないか、と考える事が出来ます。メルカバMk.4は登場前は140mm砲搭載が噂されていながら、実際に出てきたら120mm44口径砲で、従来のメルカバMk.3(1990年配備開始)とサイズは変わりがありませんでした。IAIの120mm44口径砲のモデル名は、MK.3用が「MG251」でMk.4用が「MG253」と、新設計になっています。90式戦車とメルカバMk.3はほぼ同時期の戦車です。その次に現れた日本とイスラエルの新戦車、TK-XとメルカバMk.4が同じ120mm44口径という主砲サイズを選択してきたのは、両国とも検討を重ねた上での事であり、単純に「主砲サイズが以前の戦車と変わり映えしない」と批判する事は、浅はかな行為ではないかと思います。TK-Xをそのように批判する場合、メルカバMk.4も同様に批判しなければなりませんが、そのような事をしている者は見た事がありません。
TK-Xを批判する人の多くが、「なぜ長砲身化しなかった」「なぜ大口径化しなかった」「90式戦車と同じじゃないか」という意見を述べています。代表的な例では小説家・吉岡平氏のTK-X批判で「主砲も従来のまま」というものです。しかし実際には同じでは有りません。全くの別物です。
なおロシアは新戦車T-95の主砲に135mm戦車砲ないし152mmガンランチャーを予定しています。ただし大口径化といっても、ガンランチャーの場合は大威力のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)は撃てません。APFSDSを撃つだけなら撃てますが、口径に相応したサイズのものは無理で、軽量の低威力なAPFSDSを撃てるのみです。ガンランチャーの主要兵器は砲発射ミサイルであり、HEAT(成形炸薬)弾頭です。一般的なAPFSDSを発射する高初速戦車砲とは同じ土俵で比べる事は出来ない事に注意して下さい。つまり152mmガンランチャーが120mm高初速戦車砲より強力とは一概に言う事は出来ません。その辺りの事を何も解説せずに152mm=強力だとする軍事ライターが居るようですが、MBT70やシェリダンの存在を忘れているかのようです。
MBT-70 ‐ Википедия
└ XM150
Бронебойно-трассирующий подкалиберный с отсоединяющимся поддоном, APFSDS-T
ХМ578Е1
Вес выстрела, кг 18,2
Вес снаряда, кг 9,1
Начальная скорость, м/с 1478
152mm砲弾であるにも拘らず、XM578E1の重量は120mm滑腔砲弾と同程度になっています。短口径のガンランチャーで初速を稼ぐ為でしょう。スペック上、XM578E1の初速は一般的な120mm戦車砲弾よりも若干劣る程度です。XM150ガンランチャーの主要兵器は砲発射ミサイル「MGM-51 シレイラ」であり、APFSDSであるXM578E1は接近時または二線級目標用です。
(なぜロシア語版Wikipediaなのかというと、英語版のMBT-70やドイツ語版のKampfpanzer 70よりも遥かに情報量が充実しているからです。ロシア新戦車T-95の主砲がガンランチャーになりそうなので、ロシア人はMBT70に大きく注目しているようです)




